日帰り手術

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当院では、コロナ禍でも安心・安全な日帰り手術を行います。

当院で対応可能な日帰り手術

鼻づまりに対する手術

鼻中隔弯曲症に対する鼻中隔矯正術
鼻づまりの場合、左右の鼻を分ける鼻中隔が曲がっていることがあります。これを鼻中隔弯曲症といいます。鼻中隔弯曲症は骨折と同じで、薬物では治りません。
この場合は手術により曲がっている部分を取り除く必要があります。手術時間は約30分程度です。
  • 湾曲した鼻中隔
  • 切除部位
  • 鼻中隔粘膜を戻す
  • 【手術前】
  • 【手術後】

鼻汁・くしゃみに対する手術

アレルギー性鼻炎に対する下鼻甲介形成術
鼻の中には下鼻甲介という粘膜のひだがあり、知覚神経と鼻汁分泌を司る自律神経が分布しています。
アレルゲンが鼻に入ることにより、下鼻甲介の粘膜が腫れ、鼻づまりが起こったり、鼻汁やくしゃみの症状が起こります。下鼻甲介の粘膜を削って小さくすることにより、鼻づまりを改善させたり、下鼻甲介に分布する神経のみを選択的に切断し、鼻汁やくしゃみを起こしにくくします。
神経を切断するといっても、鼻の中の一部(下鼻甲介)へ分布する神経を切断するだけですので神経を切ること自体の副作用はほとんど無いと考えられています。手術時間は片側15分程度です。
  • 肥厚した鼻粘膜
  • 切除部位
  • 折りたたむ
  • 【手術前】
  • 【手術後】
アレルギー性鼻炎に対する選択的後鼻神経切断術
下鼻甲介の分泌する神経の根元の神経です。下鼻甲介と同様に鼻汁を制御している副交感神経や知覚神経を切断することで、鼻汁量を減少させます。
ただし効果は永続的なものではなく、長期的に見ると症状が再発することもあります。片側30分程度です。一般的に下鼻甲介形成術を組み合わせることがほとんどです。

副鼻腔炎に対する手術

副鼻腔に炎症を起こして薬物療法でも十分に改善しない場合や、副鼻腔炎を繰り返す場合に行います。副鼻腔の通り道(排泄路)が狭くなることで、交通渋滞のような状態になっていますので広い通り道(排泄路)を作成し交通渋滞を改善させます。また、内部の炎症がある組織やポリープを除去することで内部の粘膜を正常な状態に戻します。重症度によりますが、片側30〜90分程度です。
いずれの手術も術後はしばらく鼻がつまり、少量の出血が続きますが徐々におさまってきます。重症度や疾患によりますが70%の方以上は改善が見込めると思います。
ただし、稀に(約1%の確率)手術後2週間ほどが経った時に遅発性術後出血というものがおこることがありますので、術後3週間から1か月は結婚式などの重要なイベントや海外旅行等は控えていただくようにお願いします。
副鼻腔炎に対する手術
  • 【手術前】
  • 【手術後】

繰り返す耳だれに対する手術

(慢性中耳炎に対する鼓膜形成術)
中耳炎による耳だれを繰り返し、鼓膜に穴が残っている状態を慢性中耳炎といいます。鼓膜や耳小骨に異常がない場合は、鼓膜のみを閉じる手術です。全身麻酔で60分程度です。
90%以上は鼓膜がくっつくと言われています。

日帰り手術のご案内

メリット
  • 手術当日に帰宅できるため、社会復帰が早い。
  • 入院費用が発生しないため、経済的負担が少ない。
  • 新型コロナウイルスなどの感染症のリスクを減らすことができる。
デメリット
  • 持病があると,日帰り手術を行えない場合がある。
  • 帰宅後,出血や痛みに対して自己管理が必要である。

数字で見る手術室

高度で安全な手術を提供するため国内外問わず鼻副鼻腔手術実習に積極的に参加させていただきました。

2013年
京都大学鼻副鼻腔実習(見学)
2014年
独協医科大学鼻副鼻腔実習(見学)
2015年
独協医科大学鼻副鼻腔実習(実習)
2016年
京都大学鼻副鼻腔実習(実習)
2018年
ASAN Medical Center 韓国ソウル(見学)
2019年
千葉大学頭蓋底実習(見学)
鼻副鼻腔手術実習

手術の流れ

  • 01 最初の診察
    診察し、手術適応かどうかを判断いたします。
  • 02 検査・説明
    最初に手術の日程を決めていただきます。
    手術日の約2週間前に術前検査を受けていただきます。術前検査(採血・心電図・肺機能検査・胸のレントゲン)と手術の説明を行います。
    説明終了後に、同意書の取得を行います。術前検査は半日かかります。
  • 03 手術当日(※手術日は毎週水曜日の午前中)
    8:00に来院後、麻酔科の先生と主治医から手術前にお話があります。8:30に入室いただき、手術の準備を行い、9:00頃より手術開始となります。12:00ごろに手術が終わりリカバリー室に帰室いたします。
  • 04 術後の経過観察
    術後はリカバリー室で12:00~15:00までの3時間程度安静にしていただきます。
  • 05 帰宅
    落ち着いたら夕方頃に自宅に帰宅していただきます。当日は出血もありますので、安静におやすみください。
術後のご注意
  • 全身麻酔下での手術になりますので事故防止のために当日はご自身で絶対に運転しないようにしてください。
    付き添いの方のお迎えにてお車(タクシーも可)で帰宅をするようにしてください。
  • 電車やバスあるいは歩行による帰宅は、出血やふらつきの原因になりますので、なるべく活動性を下げるためにお車(タクシーも可)にてご帰宅ください。
  • ご遠方の方やお車でのお迎えが難しい方は、近隣ホテルにご宿泊いただき、翌日に外来を受診していただいております。近隣ホテルに宿泊される患者さまも、付添いの方と一緒にご宿泊(同室)ください。
  • 安全確保のため、術後24 時間は患者さまがお一人になることのないよう、ご協力をお願いいたします。

日帰り手術が困難な例

以下に該当される方は、手術の前後に特別な入院管理が必要となる可能性があります。医師の判断で関連医療機関(JCHO下関医療センターなど)にご紹介させて頂き、入院が必要になる場合があります。
  • 小学生以下の方
  • 70歳以上のご高齢の方
  • 長時間仰向けになれない方
  • 鼻副鼻腔以外の疾患(喘息・糖尿病)をお持ちの方で、十分に薬剤でコントロールされていない方
  • 重篤な心疾患、脳疾患や神経筋疾患、精神疾患、腎不全(人工透析中)、高度肥満、睡眠時無呼吸症(CPAP使用中)をお持ちの方
  • 抗がん剤、抗凝固剤(血液をサラサラにする作用があるサプリメントを含む)やインスリン等を使用されており休薬困難な方
  • お一人暮らしの方で手術後、不安のある方
上記項目に該当しない方でも全身機能が低下している場合がありますので、気になる方はご相談ください。

手術費用について

当院で行っている治療、手術はすべて保険適応(保険がきく)の治療になり保険外の診療は行いません。費用は国が決めています。通常、自己負担額は3割で、残りの7割は保険者もしくは国が負担をしています。

手術にかかる費用は術式によって保険点数が定められており、診察費や薬剤費、麻酔費などを加えた総額の1~3割は会計での支払額としてご負担いただきます。
当院で主に施行している手術と点数に関して下に例を示します。当院の特色である日帰り手術では、入院する場合に比べて費用を抑えることができます。

多くの鼻科手術は高額療養費の対象となりますので、1か月に支払った医療費の窓口負担額が一定額を超えた場合には「高額療養費制度」が適用され、超えた負担額を高額療養費として加入している医療保険から支給されます。
加入している医療保険の窓口へ高額療養費の支給申請書を提出していただきますと、「窓口負担額」と「自己負担の上限額」との差額分が還付金として返還されます。支給申請を行う際には、医療費の領収書の添付を求められる場合もありますのでご注意ください。
詳しくは、厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」をご参照ください。
手術費用について
100万円の医療費で、窓口での負担(3割)が30万円かかる際、212,570円が高額療養費として支給され、実際の自己負担額は87,430円となります。
また、手術などで支払額が高額になると前もってわかっている場合は、事前に【限度額適用認定証】を発行していれば、患者さまの収入(所得)に応じてクリニック窓口で支払う負担金自体が限度額までになることがあります。
医療保険に加入されている場合は、保証が受けられる場合がありますので保険会社へご確認ください。
高額療養費制度について
公的医療保険の制度のひとつである「高額療養費制度」とは、月初から月末までに医療機関や薬局の窓口で支払った額が一定の自己負担額を超えた場合、その超えた金額が払い戻される制度です。払い戻しを受ける条件や、医療費の上限が決められており、個人の負担を軽減する仕組みも設けられています。

院長の手術体験記

院長こと進 保朗は2021年秋に鼻・副鼻腔手術を患者として手術を受けました。患者の立場として体験記を書きますので手術で悩んである、皆さんのお役に立てれば幸いです。 全体的な感想として術後の状態には大変満足していますが、楽な手術ではありませんでした。 この度は、一般的な入院生活を行うため総合病院の4人部屋に入院しています。当院とは異なり総合病院のため前日入院、翌日退院になりますのでご了承ください。 あくまでもわたしの個人的な感想ですので、手術の術式や病態、患者さま個人個人で術後の症状は異なるかと思います。
院長の手術体験記
自覚症状 軽度鼻閉
術前診断 高度の鼻中隔弯曲症・アレルギー性鼻炎(IgE531 ハウスダスト 5 ダニ 5 スギ 3)
術後診断 高度の鼻中隔弯曲症・アレルギー性鼻炎・慢性上顎洞炎
改善した症状 鼻閉・10年続いた片頭痛・肩こり・嗅覚障害(口の中に食べ物をいれると鼻に風味が来る感じ)・繰り返す鼻出血

手術前日入院

総合病院のため前日入院の上、夜9時以降は絶飲食といたしました。4人部屋ですが、ぐっすり睡眠できました。

術当日

午後からの手術のため午前中は本を読んだりパソコンで仕事を行いました。

手術室にて

14時入室となり、手術室のベッドの上で麻酔科の先生からマスクを口にあてて10秒数えるようにいわれ、5秒後からの記憶はありません。

抜管後

鼻の痛みとのどの違和感で目が覚めました。起きると鼻が痛かったため痛み止めをいれていただいたようです。何を話したかはなんとなく覚えている程度ですが、出血量について4回聞いていたようです。手術が成功したかとても気になりました。

帰室

帰室すると意識もはっきりしてきました。おかげさまで痛みは全くありませんでしたが、のどの違和感と咽頭に血が持続的に流れる感じがして気分が悪くなりました。また鼻も詰まった感じで気持ちが悪く酸素マスクもきませんでした。そのためか目がさえてあまり眠れません。術後の飲水も鼻に逆流したり、のどが麻痺しているためか上手にのみ込めずにむせて結局水は飲めず、うがいのみ辛うじてできました。点滴があると動けず、洗面台もいけないので主治医の先生に確認していただき、早めに抜いていただきました。結局、水は少し飲めましたが、夕ご飯は食べられませんでした。

消灯から就寝

前歯が浮いた感じもあり、鼻づまりがひどく口呼吸を行うため、のどがからからになりあまり眠れません。隣の方のいびきも気になり1時間おきに目が覚め、うがいをしました。夜がとても長く感じられ、なかなか辛く寂しいこともあり家が恋しくなりました。

術翌日~退院~帰宅後

結局、夜はほとんど眠れませんでした。朝ごはんも気分が悪くて食べられませんでした。体調もあまりよくないので早く帰りたくなり、朝一で清算していただきました。高額療養費の届け出をしていなかったため20万円以上支払いました。(申請をしなくても1か月後くらいには返ってくるようです)寝不足もありフラフラと家になんとか帰りました。帰宅後は体調は良くなり、好きなことができたので気分もまぎれて軽食をとり昼過ぎからはよく眠れました。
昼過ぎから鼻洗浄を行いましたが血の塊がどんどんでてきてとても気持ち悪かったです。洗浄した一瞬のみ鼻が通る感覚があります。

術翌日から現在まで

術後の症状ですが、だんだんと鼻が通る感覚があります。2週間に1度ほど頭痛薬を飲んでいましたが、術翌日より頭痛や肩こりが劇的に治りました。痛みは全然なく術後に痛み止めは使いませんでした。(鼻が詰まって頭痛が起こり痛み止めを頻回に使われる方もいらっしゃいます)前歯の浮いた感じも徐々に良くなり現在では全く問題なくなりました。術後3日目くらいから食べ物がふわっと鼻の奥からかおる感覚があり風味を味わうことができとても食べ物が美味しく感じました。鼻づまりも同時期よりだんだんと改善し、10日目くらいには鼻はよくとおるようになりました。
出血はなかなか大変で、お風呂であたたまると拍動性に出血するためシャワーにいたしました。なかなか止血にも時間がかかるのでおさえたり綿球をいれてとめたりました。全体的な感想として術後の口呼吸・鼻出血症には悩まされましたが、術後得られるものがそれ以上に大きく鼻閉だけでなく、何より頭痛や肩こりが治ったのはとても大きいと思いました。症状も日にち薬になるので個人的には家で好きなことをして過ごしたほうが気分がまぎれてよかったと思いました。
この度一番自分が感じることができ良かったことはそのこと以上に、自分が患者として入院することにより看護師さんの優しさや温かさや、先生方の頼もしさを身を以て体験することができたことです。私の手術に携わっていただいた方々には大変感謝しています。この場を借りて厚く御礼申し上げます。この経験を今後自分のクリニックに少しでも生かして行きたいと思いました。
手術に悩んでいる皆さまのご参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。