『認知症の4割は予防できる』
認知症は遺伝や加齢など予防や治療できない要素によるものが大きいが、リスク因子の中には予防したり治療できたりするものもある。日本で発症する認知症のうち、約4割は介入による予防の可能性があるものであるという推計結果が最近の論文で報告された。この研究の中で、日本における認知症の介入可能なリスク因子としては40代以降の壮年期以降の難聴に起因すると考えられるのが6.7%と最も高かった。壮年期以降の運動不足は6%、高LDLコレステロール血症4.5%、糖尿病3%、高血圧2.9%、うつ2.6%、喫煙2.2%などだった。
耳鼻咽喉科専門医、アレルギー学会認定専門医
2020年の有名な論文(*1)では、壮年期以降のリスク因子として難聴が8%もあり、最も大きいものとして紹介されていて大きな反響を呼びました。では、日本国内でどのようなものが大きいかということを紹介したのが今回の研究結果で、難聴が最大(6.7%)で続いて運動不足や高脂血症、糖尿病などが続いています。全てのリスク因子を10%減らすことで20万人、20%減らすことで40万人の認知症患者を減少させることができる可能性があるという結果です。若い間から大きな音にさらされていることも難聴のリスクとして重要で、これはひいては認知症のリスクになるというわけです。
耳鼻咽喉科医としては若い間の暴露を避けるためにヘッドホンなどの音量に気を付けること(ノイズキャンセリングを使う、耳を休める時間を作るなど)と、難聴があれば早めに耳鼻咽喉科に受診することをお勧めします。難聴は治療可能な場合もありますし、補聴器の適応となっても、最近の補聴器は性能も上がっています。補聴器を考える場合も耳鼻咽喉科(補聴器相談医)にまずは受診することをお勧めします。
*1 Lancet. 2020 Aug 8;396(10248):413-446.
難聴があると会話をする機会が減るため、認知症やうつ病のリスクになるのは自明の理かもしれません。
当院では全国に先駆け、補聴器専門の施設である『済生会宇都宮病院 耳鼻咽喉科 』と連携し、補聴器診療を行なっています。
進 保朗